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2016/09/14 (水)

【羽田空港カリスマ清掃員 新津春子さんに聞く!】いつもの掃除をもっとラクに――「わざわざ掃除」よりも、「ついでの掃除」

取材・文/鈴木博子 撮影/刑部友康
きれいな空間で過ごすのは気持ちいいと分かっていても、散らかった部屋や汚れたキッチンを目にすると、つい掃除をするのがおっくうになってしまうこと、ありませんか?
「忙しいから」「疲れているから」と理由をつけて、掃除が後回しになることもあるでしょう。

しかし、ちょっとした心がけとほんの少しのテクニックで、いつものお掃除がもっとラクに、しかも楽しくなるのだとしたら、こんなにすてきなことはないと思いませんか?
今回は、日本空港テクノ株式会社の環境マイスターである、新津春子さんにお話をうかがいました。

新津さんは20年以上にわたって羽田空港の清掃員として働いていて、羽田空港が2013年、14年、16年と「世界一清潔な空港」に選出されたときの、功労者のひとりです。

家庭では、「何かのついでにササッと掃除」が基本

――この仕事に就く前から、お掃除が得意だったのですか?

新津:昔は掃除や片付けが大の苦手。茶碗ひとつ、洗うことさえ大嫌いだったんです。でも、清掃の仕事に就き、先輩から掃除の基本やテクニックを教えてもらったら、途端に楽しくなってきました。なにごとも上達したら、自然と好きになりますよね。きれいにできるようになって、初めて掃除が好きになったんです。

――「カリスマ清掃員」と呼ばれ、お掃除のプロである新津さん。やっぱりご自宅はキレイなのですか?

新津:日中は仕事をしているし、掃除以外の家事もやらなければいけません。まとまった時間が取れないので、入念な大掃除はやりたくてもできないのが現状。だから日ごろの掃除では、『何かのついでにササッとやること』を心がけています。
例えばトイレに入ったとき、床の汚れが気になったら出てくる前にサッと拭き取る。玄関で靴を履いているとき、下駄箱のほこりが気になったら外へ出る前に、簡単に拭く。洗面所で歯を磨いているとき、鏡の汚れが気になったら乾拭きする。
このように、汚れに気づいたとき、何かのついでに掃除することを心がけていると、汚れは大してたまりません。『わざわざ掃除する』という感覚はないので、掃除に対するプレッシャーや義務感もありませんし、いつもきれいな状態でキープすることができる。定期的な大掃除の際にも負担を減らすことができるでしょう。

そのほかにも、普段からこんなところに気をつけています。

(1)「動線」に沿って「目線より低い場所」を掃除する
玄関、廊下、台所、リビング、トイレ、お風呂など、日ごろからよく使う場所はほこりや髪の毛が落ちやすく、汚れがたまりやすい場所。そういうところで『気づいたら掃除をする』という習慣をつけておくと、汚れのたまり方が少なくなります。拭き掃除用に小さめの雑巾やハンドタオルをそれぞれの場所に常備しておくといいですよ。

(2)下駄箱や食器棚はいつも開けておく
棚の中は、どうしてもにおいがこもりやすい場所。そのため、下駄箱や食器棚などは、『今日は左側』『明日は右側』など、日替わりで棚を開けておきます。キッチンのシンクの下に鍋や調味料を置いている場合も開けておいたほうが、いやなにおいがとれますよ。

(3)ベランダの植木は毎日少しずつ位置をずらす
これは、ゴキブリなどの害虫を予防するため。植木鉢の下部にあるヘコミの部分はゴキブリが出入りしやすく、付近に巣をつくってしまうことも。そのため、毎日植木に水をあげるときに、植木鉢の位置を少しずらしたり、地面へトントン叩いて刺激を与えたりして、害虫を予防します。

(4)料理をしたら食器棚、冷蔵庫を拭き、五徳を洗う
家の中で、もっとも汚れがつきやすい場所がキッチン。料理中、油のついた手で食器棚や冷蔵庫などを触ることも多いでしょう。料理後は必ず触ったところをサッと拭き、調理台や壁なども軽く水拭き。さらに、五徳は毎日はずして食器用洗剤で汚れを落とします。

――毎日の掃除で心がけていることは、ありますか?

新津:掃除道具をシンプルにすることと、「毎日1時間」など掃除時間を決めること。道具が多くなると面倒になるし、置く場所も大変。水まわりには汚れ落とし用に歯ブラシを置く、トイレや台所には掃除用のタオルをぶら下げておく程度で十分。洗剤も中性洗剤でほとんどが事足ります。また、「毎日10分や15分」など、時間を決めて掃除する習慣をつけると、大掃除のときにラクですよ。

お客様を自宅へ招待!そんなときはココを掃除すればひとまず安心

――「掃除をしなくちゃ!」というプレッシャーに悩まされるのは、お客様を自宅へ招待したときが多いと思います。そんなとき、「少なくともココをきれいにしておくと、お客様に“きれいな家”という印象を与えられる!」というポイントはありますか?

新津:そんなときは、少なくとも次のポイントをキレイにしておくことをお勧めします。

(1)玄関
まず、お客様の目につくのが玄関です。玄関先で軽くあいさつをしたり、お客様をお待たせしたりすることもあるでしょう。そんなとき、お客様は無意識に玄関の汚れをチェックしているかもしれません。掃除で見落としがちなのが、下駄箱の上のほこり。拭きにくい飾り物を置いている場合は、ドライヤーなどで吹き飛ばすときれいになります。

(2)リビング・ダイニング
特に気をつけたいのが、ダイニングテーブルです。ソファに座ると、人の目線は変わります。目線が下がると、立っているときには見えない、低い部分の汚れが気になるもの。特に、ソファに座るとダイニングテーブルの側面や足の汚れに目がいきやすいので、掃除の際には気を配りましょう。

(3)トイレ
便器はピカピカに磨いても、つい見落としがちなのが、トイレットペーパーホルダーの汚れ。両サイドが黒ずんでいたり、紙の欠片が飛び散っていたり、意外に汚れているものです。

――お客様を招待するときのお掃除のコツはありますか?

新津:お客様の動線を考えて掃除をするのがポイント。キッチンにお客様が入ることはないでしょうから、汚れが気になっても、この際、切り捨てちゃって大丈夫。『しっかり掃除をするところ』『しなくてもいいところ』を切り分ければ、掃除がグンと楽になりますよね。

――やはり、新津さんはお友達のお家を訪問したときなど、細かいところまで目がいってしまうのですか?

新津:職業柄、友人のお家を訪問したときも、つい見てしまいますね(笑)。ホテルなどの施設を利用したときにもついチェックしてしまい、備え付けのアンケートに気になったところを細かく回答します。でも普通なら、それほど気にしなくても大丈夫ですよ。

新津さんは羽田空港を歩いているときも、常にあちこちに目を配っています。そして、汚れを見つけると俊敏に近寄ってサッと落とし、さっそうと立ち去っていく……。
その姿は、まさに清掃のプロ!なんとも楽しそうに汚れを見つけ、イキイキと掃除をするのです。
「掃除も、上手になれば好きになる!」
新津さんのこの言葉が、家をきれいに保つための秘訣になりそうです。

プロフィール

新津 春子(にいつ はるこ)

日本空港テクノ株式会社所属。20年以上羽田空港の清掃に従事。ビルクリーニング技能士(国家資格)、職業訓練指導員、また環境マイスターの称号をもつ。現在は「世界一のカリスマ清掃員」として知られ、掃除に関する優れた知識と技術をもとに、約500人の清掃員のリーダーとして活躍。
同時にテレビや書籍などで、家庭向けの掃除技術も広く発信している。

取材・文/鈴木博子 撮影/刑部友康

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